『自分が自分ではない』などと、誰が認めようとするだろう
許されざる生命のための鎮魂歌
僕は生きている。
血と肉を宿し、此処に存在している。
それなのに、僕は『オリジナル』ではない。
僕は所詮、時が止まった劣化コピー体に過ぎない。
家族が殺されたあの日。
妙な薬を飲まされたあの時。
僕は『彼』から『生まれた』。
あの薬の力で『彼』は魔族と同様にARMへの強い感応能力を得た。
…そして、その力で――自らの明日(いのち)を、未来(みち)を、閉ざしていく。
ニンゲンでも、魔族でもないカラダの『彼』。
僕と、同じ。
叶うならば、ニンゲンでありたかった。
それが、君の想い。
叶うならば、ニンゲンに生まれたかった。
それが、僕の想い。
本来生まれるはずのなかった、イノチ、カラダ、ココロ。
君は前に進んでいけるけれど、僕は此処から動けない。
ねぇ、君が羨ましいよ。
僕は過去(きのう)。
君は現在(いま)――そして、未来(あした)。
存在自体を許されないなら、僕はなぜ生まれたの――?
なぜ、イノチを、カラダを、ココロを、与えられたの――?
…ねぇ、『ウィト=ドラド=ミドルアース』。
たとえ消えゆくとしても、僕は君になりたい。
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